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29才の高校教師です。学校、教育、高校野球について日々の思いを書きます。

見えない糸に導かれた親友対決〜中京大中京、上野翔太郎のかっこよさ

こんばんは、フサイチです。

今日は甲子園に出場したのは3試合ながら、

私たちに強烈なインパクトを残した右腕、

中京大中京高校、上野翔太郎投手について書きます。

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朝日新聞より転載


愛知、中京大中京高校といえば、甲子園の覇者です。

京商時代から甲子園に出れば優勝を繰り返し、

春4回、夏7回の優勝、通算133勝はどれも全国No. 1です。

その中京大中京、2009年に堂林翔太選手(現広島)を擁し、

全国制覇を成し遂げますが、翌2010年に早稲田実業に21−6で敗退、

その後、春夏の甲子園から5年間遠ざかっていました。

上野翔太郎は、そのチームを5年ぶりの甲子園に導いたエースです。

1年夏からベンチ入りし、2年秋からエースとして活躍しますが、

故障などもあり、彼が本当に輝いたのは2015年、最後の夏です。

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アメブロより転載


地方大会では東邦、愛工大名電などの伝統校を撃破し、

チームを5年ぶりの甲子園に導きます。

 

甲子園では初戦の岐阜城北戦で1失点、10奪三振で完投勝利を収めます。

次戦の鹿児島実業戦でも持ち前の制球力を発揮し、

3失点ながら2試合連続の完投勝利を収めます。

そして、この大会ベストゲームの一つに数えられている、

関東一戦を迎えます。

相手の関東一の捕手、鈴木大智とは親友同士でした。

中学では同じチームでバッテリーを組み、甲子園での真剣勝負を約束した仲、

両者にとっては運命の対決になりました。

 

上野は5回までヒットを許さない完璧な投球を見せます。

6回に一死二塁のピンチを迎えるも、オコエ琉偉(現楽天)を三振に取り、

ピンチを凌ぎます。

しかし、7回には二死一、三塁と今日最大のピンチとなります。

ここで、打席には鈴木を迎えます。

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まとめ速報より転載



熱闘甲子園では、

「見えない糸に、導かれ・・」

と、この勝負を表現していましたが、まさに運命の勝負となります。

上野は鈴木を相手に、明らかにギアを上げ全力投球、一休に魂を込めます。

鈴木もそれに呼応するように粘りを見せます。

微笑みあいながら、この勝負所を楽しむ二人。

誰も入り込めないような、でも小学生の遊びのような、

そんな不思議な勝負となります。

最高にかっこいい場面でした。

 

決着は12球目、高めのストレートを鈴木が空振り、上野が三振に切ってとります。

9回裏にサヨナラ本塁打を浴び、1−0で関東一が勝利するものの、

この対決は強烈なインパクトを残しました。

 

最速144kmながら、ノビ、キレとも抜群のストレートと、

チェンジアップを効果的に使い、

なにより針の穴を通すコントロールの魅力の投球です。

 

高校日本代表にも選ばれ、W杯では3試合に登板、

エース級の活躍を見せます。

18回を無失点に抑え、韓国、アメリカなど、世界の強打者を手玉に取りました。

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日刊スポーツより転載


大学では怪我に悩まされましたが、今後の活躍に期待です。