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29才の高校教師です。学校、教育、高校野球について日々の思いを書きます。

甲子園に愛された「がばい旋風」の奇跡〜2007夏決勝、佐賀北vs広陵

こんばんは、フサイチです。

今日は、「がばい旋風の奇跡〜2007夏決勝、佐賀北vs広陵

というテーマで書きます。

 

「がばい旋風」か、伝統校初の悲願か。

2007年夏の甲子園決勝は、「奇跡」が起こった伝説の一戦となりました。

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高校野球DVDサイトより転載


佐賀北は、馬場と久保の両右腕の継投で勝ち進んできました。

2回戦の宇治山田商(京都)戦では、延長15回引き分け再試合を制し、

勢いに乗ります。

準々決勝の帝京(東東京)戦では、延長13回サヨナラ勝ち。

手に汗握る激戦を乗り越え、「がばい扇風」の勢いそのままに、

決勝の舞台に臨みます。

 

広陵は、春夏合わせ45回の甲子園出場を誇る伝統校です。

春は2度優勝を経験していますが、夏の全国制覇を成し遂げたことはありません。

準優勝4度と、あとひとつ優勝に届きませんでしたが、

この年は違いました。

野村祐輔(現広島)、小林誠司(現巨人)、

上本崇司(現広島)、土生翔平(元広島)と、

4人のプロ野球選手がスタメンに名を連ねる、圧倒的な優勝候補でした。

 

広陵5度目の正直、初の全国制覇へいよいよあとひとつ。

「がばい旋風」最終章、奇跡を起こすか。

 

試合は広陵ペースで進みます。2回に2点を先制すると、

7回にもエース野村自らタイムリーを放ちます。

野村は投げても完璧な投球。

許したヒットは1本のみ、4−0で終盤を迎えます。

佐賀北は毎回走者を背負い、苦しい展開。

一方広陵は、徐々に差を広げ、全国制覇をほぼ手中にしていました。

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文春オンラインより転載


8回裏、佐賀北は一死から久保がレフト前ヒットを放ちます。

初回から大声援を送り続けていた緑のアルプスは、

久々のヒットに、今日一番の歓声を送ります。

このヒットから、球場の雰囲気が変わり始めます。

声援の後押しを受けるように、新川もヒットでつなぎます。

さらに辻が四球を選び、一死満塁。

スタンドのボルテージは最高潮となります。

 

野村がボール球を投げるたびに、スタンドは大歓声。

さすがに投げづらいか野村、

次打者の井出に際どいコースを突くも、押し出し四球を与えます。

4−1なお、一死満塁。

打者は3番副島、ここまで甲子園2本塁打の強打者です。

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読売新聞より転載


いつの間にか、球場全体に広がった声援を背に受け、

3球目を強振。

 

早々にレフトが追うのを諦め、スタンドイン。

 

逆転満塁ホームランで、5−4。

 

球史に残る名シーンが生まれました。

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朝日新聞デジタルより転載


9回、広陵は粘りを見せるも、

最後は野村が三振に倒れ、試合終了。

 

圧倒的な力で試合を優位にすすめていた広陵

ほぼ手中に納めていた初の全国制覇は、

目前で手からすり抜けて行きました。

 

甲子園を味方につけた「がばい旋風」が、

球史に残る奇跡を生み出しました。