Babysteps

29才の高校教師です。学校、教育、高校野球について日々の思いを書きます。

金農旋風に飲み込まれた男の逆襲〜近江高校・林優樹

こんばんは、フサイチです。

今日は、「金農旋風に飲み込まれた男の逆襲〜近江高校・林優樹」

というテーマで書きたいと思います。

 

第100回夏の甲子園といえば、大阪桐蔭春夏連覇で幕を閉じました。

しかし、金足農業が決勝まで進み、

その快進撃が多くの感動をよんだ大会でもありました。

その度重なる逆転劇は「金農旋風」と呼ばれ、

高校野球ファンを魅了しました。

 

一方で、旋風に飲み込まれたまれたチーム、選手がいます。

それが今日紹介する近江、林優樹投手です。

 

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週刊ベースボールより転載

この夏、近江は投打共に充実しており、優勝候補に数えられていました。

そして、林は背番号18、2年生ながらこの夏、主戦級の投球を見せます。

初戦はセンバツ準優勝の智弁和歌山戦、林は3回からリリーフ登板します。

超強力、智弁和歌山打線を相手に、切れ味抜群のスライダー、

ブレーキの効いたチェンジアップを駆使し、

3回1/3を投げ無失点の好投、チームの逆転勝利を呼びました。

林晃汰(現広島)や東妻純平(現DeNA)を三振に取るなど、

圧巻の投球を見せます。

 

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Twitterより転載

続く前橋育英戦でもリリーフし、6回無失点。

常葉菊川戦では8回1失点と、安定感抜群の投球を見せ、

勝ち進むつれ、その存在感は増していきました。

 

そして、準々決勝で運命の金足農業戦を迎えます。

絶対的な信頼を得ている林、

この日は1−0リードの5回からリリーフ登板します。

代わりっぱな、吉田輝星のタイムリーで同点に追いつかれますが、

味方が直後の6回、北村のタイムリーで勝ち越します。

その後は林、落ち着きを取り戻し完璧な投球を見せます。

2−1で終盤を迎え、観客も徐々に「旋風」の予感に、ざわつき出します。

迎えた9回裏金足農業の攻撃、先頭の高橋がレフト前ヒットで出塁したとき、

はっきりと球場の空気が変わります。

ヒット、四球とランナーがたまるたびに、

球場全体が、何かが起こりそうな異様な雰囲気となります。

そして、無死満塁から9番斎藤の3球目、

あの伝説の逆転サヨナラツーランスクイズが生まれます。

 

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呆然とする林、うずくまり立ち上がれない捕手の有馬。

歓喜金足農業と対照的に、近江の選手たち、スタンドはその瞬間、

時間が止まったように、立ちすくみました。

 

「一生忘れられない」と、のちに林が語っています。

ベスト4まであと1イニングからの逆転サヨナラ負け、

「金農旋風」に飲み込まれた悲運の左腕

しかし林優樹は、このままでは終わりませんでした。

 

翌2019年夏、成長した姿で林は夏の甲子園に戻ってきます。

最大の試練は地方大会決勝、光泉を相手に、

1−0のリードで迎えた9回二死一、三塁。

当然頭に昨夏の「金農旋風」が過ぎる場面です。

しかし林は、

 

「何があっても気持ちは揺るがなかった」

 

と、最後の打者をショートゴロに打ち取り、

甲子園の切符を手にしました。

「金農旋風」に飲み込まれた男の逆襲。

昨夏の逆転サヨナラ負けを自分の力に変えて、

再び甲子園に立ちました。

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毎日新聞より転載


甲子園では、初戦の東海大相模戦で敗れるものの、

高校日本代表にも選ばれ、

甲子園に大きなインパクトをのこした左腕。

今年からは西濃運輸に進み、プロ入りを目指します。