金農旋風に飲み込まれた男の逆襲〜近江高校・林優樹
こんばんは、フサイチです。
今日は、「金農旋風に飲み込まれた男の逆襲〜近江高校・林優樹」
というテーマで書きたいと思います。
第100回夏の甲子園といえば、大阪桐蔭の春夏連覇で幕を閉じました。
しかし、金足農業が決勝まで進み、
その快進撃が多くの感動をよんだ大会でもありました。
その度重なる逆転劇は「金農旋風」と呼ばれ、
高校野球ファンを魅了しました。
一方で、旋風に飲み込まれたまれたチーム、選手がいます。
それが今日紹介する近江、林優樹投手です。
この夏、近江は投打共に充実しており、優勝候補に数えられていました。
そして、林は背番号18、2年生ながらこの夏、主戦級の投球を見せます。
初戦はセンバツ準優勝の智弁和歌山戦、林は3回からリリーフ登板します。
超強力、智弁和歌山打線を相手に、切れ味抜群のスライダー、
ブレーキの効いたチェンジアップを駆使し、
3回1/3を投げ無失点の好投、チームの逆転勝利を呼びました。
林晃汰(現広島)や東妻純平(現DeNA)を三振に取るなど、
圧巻の投球を見せます。
続く前橋育英戦でもリリーフし、6回無失点。
常葉菊川戦では8回1失点と、安定感抜群の投球を見せ、
勝ち進むつれ、その存在感は増していきました。
そして、準々決勝で運命の金足農業戦を迎えます。
絶対的な信頼を得ている林、
この日は1−0リードの5回からリリーフ登板します。
代わりっぱな、吉田輝星のタイムリーで同点に追いつかれますが、
味方が直後の6回、北村のタイムリーで勝ち越します。
その後は林、落ち着きを取り戻し完璧な投球を見せます。
2−1で終盤を迎え、観客も徐々に「旋風」の予感に、ざわつき出します。
迎えた9回裏金足農業の攻撃、先頭の高橋がレフト前ヒットで出塁したとき、
はっきりと球場の空気が変わります。
ヒット、四球とランナーがたまるたびに、
球場全体が、何かが起こりそうな異様な雰囲気となります。
そして、無死満塁から9番斎藤の3球目、
あの伝説の逆転サヨナラツーランスクイズが生まれます。
呆然とする林、うずくまり立ち上がれない捕手の有馬。
歓喜の金足農業と対照的に、近江の選手たち、スタンドはその瞬間、
時間が止まったように、立ちすくみました。
「一生忘れられない」と、のちに林が語っています。
ベスト4まであと1イニングからの逆転サヨナラ負け、
「金農旋風」に飲み込まれた悲運の左腕、
しかし林優樹は、このままでは終わりませんでした。
翌2019年夏、成長した姿で林は夏の甲子園に戻ってきます。
最大の試練は地方大会決勝、光泉を相手に、
1−0のリードで迎えた9回二死一、三塁。
当然頭に昨夏の「金農旋風」が過ぎる場面です。
しかし林は、
「何があっても気持ちは揺るがなかった」
と、最後の打者をショートゴロに打ち取り、
甲子園の切符を手にしました。
「金農旋風」に飲み込まれた男の逆襲。
昨夏の逆転サヨナラ負けを自分の力に変えて、
再び甲子園に立ちました。
甲子園では、初戦の東海大相模戦で敗れるものの、
高校日本代表にも選ばれ、
甲子園に大きなインパクトをのこした左腕。
今年からは西濃運輸に進み、プロ入りを目指します。