Babysteps

29才の高校教師です。学校、教育、高校野球について日々の思いを書きます。

教師の信頼とは〜生徒目線に立つことの意義

こんばんは、フサイチです。

 

 

新型コロナウイルスの影響により、

世の中は、不安と混乱に満ちています。

 

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「オリンピックがあるから感染者数を低く見積もっているんじゃないか」

「政権維持のために、緊急事態宣言を出さないんじゃないか」

「買いだめしておかないと、物資がなくなるんじゃないか」

 

ネット社会においては、誰もが発信者となれる時代です。

不安を感じる人の発信を受けて、さらに不安が募る。

お互いが疑心暗鬼になり、

人を信じられない世の中になりつつあります。

 

そんな大人の様子を、もちろん子どもも見ています。

我々が慌てふためいて右往左往している姿を見て、

子どもは何を思うでしょう。

 

私が子どもの立場なら、

「あ、大人って言ってもそんなもんなのね」

「俺らもああいう風になってくのかな」

と思うでしょう。

 

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子どもにとって、大人は未来です。

自分の進む先を想像できる、ただ一つの目印です。

私たちは、希望を抱ける目印にならなきゃいけないですよね。

特に、教員は最も身近な大人です。

一番近くにある、大きな目印です。

大人の中でも、模範でなきゃいけないんです。

 

「大人になるのも悪くないわ」

 

って子どもに思わせるような大人を見せなきゃいけないんです。


だけど今の先生はどうでしょう。

子どもや、周りの大人に信頼されているとは言い難いですよね。

 

いつまでも必要のない古い知識を教える教員、

自分の指導力を磨く努力をしない教員、

部活や生活指導など、厄介ごとを押し付け合う教員、

 

そんな教員で溢れています。

現場ではよく、

「生徒よりも教員に分かってもらう方が100倍大変」

と聞きます。誰もがそう思っています。

そんな教員に、子どもは信頼をおくでしょうか。

 

さて、前置きが長くなってしまいました、ごめんなさい。

子どもから信頼される教員は、どんな教員でしょうか。

たった二つです。二つのことを習慣にするだけでいい。

この二つの習慣、一見簡単そうに見えるし、実際簡単なんです。

ですが、現場で見ていると、7割以上の先生がこれをできていない。

これだけで、子どもは絶対に寄ってきます。

先生を信頼するようになります。

なぜなら、ほかの先生や大人がそれをやっていないからです。

子どもは本当は人を信頼したいんです。

一つずつ見ていきましょう。


1、嘘をつかない

皆さんも生徒にいいますよね、嘘をつくな。

思い込みで生徒に話してしまいそうになる場面がすごく多い。

生徒はあらゆることを先生に聞きにきます。

授業の終了時刻、修学旅行の日程、体育祭の組みの色、文化祭の予算、

先生も人間なので、全部知っているわけではありません。

でも、聞かれると知ったかぶりたくなるんです。

「知らない」と言ったとき、子どもにどう思われるかが怖いんです。

だから、適当や思い込みで答えてしまう。

これをやらないこと。

分からないときに、

「それはまだ確認してないから、先生たちで話し合って放課後に伝えるよ」

と、なぜ分からないのか、いつ分かるのかを伝えることです。

思い込みでものを言わない。嘘をつかない習慣をつけるだけです。

 

2、ワクワクしている

これは、

西野亮廣さんのTwitterをフォローするだけ。

毎日朝に、「今日もワクワクしてる?」って送られてきますから。笑

会議とか、ストレスとか、家庭の事情とか、

先生ってなかなか大変ですよね。

でも、子どもと話すとき、授業をするとき、部活で指導するとき、

仏頂面な先生と、ニコニコしている先生だったら、

どっちに話しかけますか。

もちろん、ニコニコしている先生ですよね。

少し想像すれば分かるんです。

大変なのは分かります。

でも、子どもの前に出るときは、ワクワクするのが先生の役目です。

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大人の世界って、こんなワクワクな毎日なんだと、

子どもに見せるのが、私たちの役目です。

子どもに明るい未来を見せることが、先生の使命です。

 

「大人になるって、こんなワクワクしながら生きるってことなんだ」

 

毎日ワクワクしながら、過ごしましょう。

 

 

 

 

 

 

甲子園に愛された「がばい旋風」の奇跡〜2007夏決勝、佐賀北vs広陵

こんばんは、フサイチです。

今日は、「がばい旋風の奇跡〜2007夏決勝、佐賀北vs広陵

というテーマで書きます。

 

「がばい旋風」か、伝統校初の悲願か。

2007年夏の甲子園決勝は、「奇跡」が起こった伝説の一戦となりました。

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高校野球DVDサイトより転載


佐賀北は、馬場と久保の両右腕の継投で勝ち進んできました。

2回戦の宇治山田商(京都)戦では、延長15回引き分け再試合を制し、

勢いに乗ります。

準々決勝の帝京(東東京)戦では、延長13回サヨナラ勝ち。

手に汗握る激戦を乗り越え、「がばい扇風」の勢いそのままに、

決勝の舞台に臨みます。

 

広陵は、春夏合わせ45回の甲子園出場を誇る伝統校です。

春は2度優勝を経験していますが、夏の全国制覇を成し遂げたことはありません。

準優勝4度と、あとひとつ優勝に届きませんでしたが、

この年は違いました。

野村祐輔(現広島)、小林誠司(現巨人)、

上本崇司(現広島)、土生翔平(元広島)と、

4人のプロ野球選手がスタメンに名を連ねる、圧倒的な優勝候補でした。

 

広陵5度目の正直、初の全国制覇へいよいよあとひとつ。

「がばい旋風」最終章、奇跡を起こすか。

 

試合は広陵ペースで進みます。2回に2点を先制すると、

7回にもエース野村自らタイムリーを放ちます。

野村は投げても完璧な投球。

許したヒットは1本のみ、4−0で終盤を迎えます。

佐賀北は毎回走者を背負い、苦しい展開。

一方広陵は、徐々に差を広げ、全国制覇をほぼ手中にしていました。

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文春オンラインより転載


8回裏、佐賀北は一死から久保がレフト前ヒットを放ちます。

初回から大声援を送り続けていた緑のアルプスは、

久々のヒットに、今日一番の歓声を送ります。

このヒットから、球場の雰囲気が変わり始めます。

声援の後押しを受けるように、新川もヒットでつなぎます。

さらに辻が四球を選び、一死満塁。

スタンドのボルテージは最高潮となります。

 

野村がボール球を投げるたびに、スタンドは大歓声。

さすがに投げづらいか野村、

次打者の井出に際どいコースを突くも、押し出し四球を与えます。

4−1なお、一死満塁。

打者は3番副島、ここまで甲子園2本塁打の強打者です。

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読売新聞より転載


いつの間にか、球場全体に広がった声援を背に受け、

3球目を強振。

 

早々にレフトが追うのを諦め、スタンドイン。

 

逆転満塁ホームランで、5−4。

 

球史に残る名シーンが生まれました。

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朝日新聞デジタルより転載


9回、広陵は粘りを見せるも、

最後は野村が三振に倒れ、試合終了。

 

圧倒的な力で試合を優位にすすめていた広陵

ほぼ手中に納めていた初の全国制覇は、

目前で手からすり抜けて行きました。

 

甲子園を味方につけた「がばい旋風」が、

球史に残る奇跡を生み出しました。

とてつもないドラマ〜2017夏、大阪桐蔭vs仙台育英

こんばんは、フサイチです。

今日は、2017夏3回戦、大阪桐蔭vs仙台育英について、

書きたいと思います。

春のセンバツを制した大阪桐蔭に、東北の雄仙台育英が挑んだ一戦は、

球史に残る、信じられない結末となりました。

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朝日新聞デジタルより転載

1、優勝候補が有利か

この年のセンバツ王者大阪桐蔭は、スター軍団。

1番藤原、3番中川、4番根尾、6番山田といった、

2年生が中心の若いチームです。

また、主将の福井は「非常に高いキャプテンシー」と西谷監督のお墨付き。

初戦は強豪智弁和歌山を相手に、2−1と競り勝ちました。

 

一方仙台育英は、守りのチーム。

エースの技巧派左腕長谷川、ショートの西巻を中心に、

接戦をモノにする力があります。

エース長谷川はここまで甲子園で無失点。

制球力を武器に完璧な投球を見せています。

2回戦の日本文理戦で完封勝利し、勢いがあります。

 

エース長谷川は好投手ですが、

やはりセンバツ王者の大阪桐蔭に分があるかという戦前の見方でした。

仙台育英としては、

「打ち合いになったら、お疲れ様でしたになってしまう」

と佐々木監督が言うように、

ロースコアの接戦に持ち込めば勝機ありと見ていました。

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2、投手戦の様相

大阪桐蔭は、智弁和歌山戦で127球を投げ完投した、エース徳山を温存。

2年生の柿木が先発します。

仙台育英・長谷川、大阪桐蔭・柿木の両先発が、

序盤は完璧な投球を披露します。

7回までに、大阪桐蔭は4安打、仙台育英は3安打。

チャンスらしいチャンスもなく、0−0のまま、

試合は終盤に向かいます。

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毎日新聞より転載

3、次期キャプテンの先制タイムリ

8回表、大阪桐蔭二塁打の2番ダンテを二塁に置き、

3番中川がレフト前にしぶとく運び、先制します。

中川はこの日2安打を放ち、左対左を物ともせず、

中軸の役割を果たします。

 

1点を先制された仙台育英は8回裏、

二死一二塁で2番鈴木がレフト前ヒット、

二塁走者が本塁を狙うも、タッチアウト。

千載一遇の同点のチャンスを逃し、勝負ありかと思われました。

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朝日新聞デジタルより転載

3、あと1人

仙台育英のエース長谷川が9回表を抑え、1−0。

仙台育英は9回裏の攻撃に全てをかけます。

好打順も3、4番が倒れ、二死。

柿木といえど、2年生です。

球は上ずり、ストレートも全てシュート回転して甘く入ります。

しかし、気迫で二死までこぎ着けます。

二死から、5番杉山がセンター前ヒット。

同点のランナーを出します。

 

6番渡部の2球目に盗塁、二死二塁とチャンスを広げます。

渡部はその後、ストレートの四球を選び、二死一二塁となります。

捕手のキャプテン福井は仕切りにベンチを見ています。

徳山も根尾もスタンバイしている状況でしたので、

投手交代を望んでいるようでした。

 

4、とてつもないドラマ

仙台育英の打者は途中出場の若山。

初球でした。

低めの球を打つもショートゴロ。

 

試合終了と思われました。

しかし、ファースト今日2安打の中川が、ベースを踏み外しセーフ。

仙台育英としては、まさに九死に一生

二死満塁となります。

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毎日新聞より転載


続く打者は途中出場の馬目。

2球目をとらえた打球は、左中間を大きく破る、

逆転サヨナラタイムリー。

 

2−1。

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日経新聞より転載



大阪桐蔭春夏連覇の夢を打ち砕く、とてつもないドラマでした。

ベースを踏み外した中川、逆転サヨナラ打を打たれた柿木、

彼らはこの悔しさをバネに、翌年春夏連覇を成し遂げることになります。

 

こんな試合があるから、高校野球は素晴らしいんです。

強打の三高、監督を日本一に〜日大三高の強さの秘密

こんばんは、フサイチです。

さて、今日は「強打の三高、監督を日本一に〜日大三高の強さの秘密」

というテーマで書きます。

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デイリースポーツより転載

 

西東京の強豪、日大三高は甲子園の常連校です。

近年では、2011年夏の日本一に輝いています。

このチームは長い甲子園の歴史を見ても、類を見ない強打のチームでした。

甲子園で4試合の2桁得点を叩き出しましたが、これ90年ぶりの大記録。

特に、3番畔上、4番横尾(現日ハム)、5番高山(現阪神)のクリーンアップは、

史上最高のクリーンアップと言っても過言ではないと思います。

そして、エースの吉永もプロ注目の好投手でした。

シンカーを効果的に使い、5試合を完投しました。

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スポニチより転載


さらに、2018年夏の甲子園では、

持ち前の強打に加え、粘り強さも発揮します。

3回戦、準々決勝と1点差ゲームを勝ち切りベスト4に進出します。

準決勝では金足農業と、球史にのこる激闘を繰り広げました。

2−1で敗れたものの、終盤の粘りは見ている人間の心を打ちました。

 

その強さの裏に、監督の存在があります。

日大三高小倉全由監督。

甲子園通算37勝の名将です。

 

地獄の冬合宿、寮生活での選手との濃密な関わりなど、

父親のように選手に寄り添い、

選手のモチベーションを高めていく、理想の監督だと思います。

 

小倉監督が監督に就任してから、日大三高は強打のチームとなりました。

「野球は打たないと勝てない」と小倉監督も語っているように、

今や「強打の三高」として、全国に恐れられています。

 

小倉監督には忘れられない試合があると言います。

それは、2006年夏の西東京大会決勝です。

この年の甲子園の優勝校は、斎藤佑樹を擁する早実でした。

その早実と地方大会の決勝で、大激闘を演じたのが日大三でした。

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文春オンラインより転載


小倉監督は、この激闘を振り返り、

「周りには歴史に残る素晴らしい試合だと褒められたが、

監督の私が負けさせてしまったと思う采配ミスがいくつもあった」

と述べています。

早実の選手が三塁の選手にタックル気味に激突したプレーがありました。

これは、周りから見るとかなりのラフプレーで、

三高の選手は激怒し、早実の選手を睨みつけていました。

それに対し小倉監督は、「もういいだろ」と選手をなだめたと言います。

 

しかし監督自身は後にこのプレーを振り返り、

もっとふざけるなという気持ちを前に出して、

もっと選手を発奮させるような声がけをすればよかったと述べています。

「あんな野球に負けるな」

「舐められて野球をやってるんじゃないぞ」

そういう声がけをして、発奮させる演技が必要だったと言います。

このように、自分の采配を振り返り、

ミスを省みることができるところが、名将たる所以です。

 

2017年神宮大会、同じように本塁クロスプレーで

相手選手がキャッチャーにタックルしたときは、

監督自身、ベンチを飛び出して猛抗議していました。

 

もちろん監督に許されている行為ではありませんが、

選手を大事にしていることが分かる行動ではあると思います。

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日刊スポーツより転載


このように、三高の強さは、小倉監督の存在があってこそです。

今後の活躍が楽しみです。

高校野球が生んだ、史上最高投手〜“元祖怪物“の衝撃

こんばんは、フサイチです。

高校野球100年。高校野球は今まで数々のスターを生んできました。

松坂大輔田中将大ダルビッシュ有、吉田輝星、大谷翔平、、、

ものすごい記録を打ち立てた伝説の投手たちです。

 

でも、そんな名投手なんか、目じゃない。

次元が、まるで違う。

今日は、間違いなく高校野球史上最高の投手について書きます。

 

怪物。

 

作新学院江川卓

 

甲子園の猛者を相手にしてなお、圧倒的な力の差。

バットにボールが当たっただけで、大歓声。

160kmを超えていたとも言われる直球。

 

その成績を見ていきましょう。

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時事通信より転載


一年夏は、準決勝で敗れます。

しかし、準々決勝烏山戦で完全試合、パーフェクトを達成しています。

一年秋には、ノーヒットノーランも達成しています。

パーフェクトもノーヒットノーランも、

投手にとって最高の記録であり、滅多に達成されることはありません。

パーフェクトに関しては、夏の甲子園ではまだ誰も達成したことがありません。

それくらい、稀有な記録です。

f:id:youkokurama:20200529224055j:plain

毎日新聞より転載

しかし、二年になった怪物、江川卓はこの記録を連発し始めます。

二年春の地区予選ではノーヒットノーラン2回。

夏の県予選では、準決勝で敗れますが、

ノーヒットノーラン2回、完全試合1回。27回無失点、47奪三振

「ホップするボール」は誰も打てません。

 

最高学年となった二年秋には、

怪物の周りには、完全に敵がいなくなります。

地区大会、関東大会の7試合53イニングを無失点94奪三振

最も打ち込まれた関東大会決勝の横浜戦は被安打4、16奪三振完封。

圧巻の投球で関東大会を制し、怪物は三年春に初めて甲子園に現れます。

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マガジン社より転載

甲子園デビュー戦は北陽相手に19奪三振4安打完封。

準々決勝、今治西戦では20奪三振1安打完封。

準決勝の広島商戦で8回2失点で敗れますが、

怪物の噂にたがわぬ、圧巻の投球を見せました。

大会60奪三振は、センバツでの最多奪三振記録となっている。

 

そして、怪物江川、最後の夏。作新学院は2回戦から登場します。

2回戦21奪三振ノーヒットノーラン

3回戦15奪三振ノーヒットノーラン

準々決勝、15奪三振1安打完封。

準決勝、8回1安打10奪三振無失点。

決勝、14奪三振ノーヒットノーラン

 

3度のノーヒットノーラン、打たれたヒットは2本。

 

まさに、怪物。

 

圧倒的な実力を示し、最後の夏の甲子園に乗り込みます。

1回戦の柳川商戦では延長15回を23奪三振1失点完投勝利。

2回戦の銚子商戦で、延長12回押し出し四球でのサヨナラ負け。

雨の中、サヨナラ負けの瞬間呆然とたたずむ江川。

「怪物江川、雨に散る」

は有名なフレーズです。

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サンスポより転載

甲子園通算6試合で、奪三振92。

 

大谷翔平の162kmよりも速かった」と呼ばれる快速球

パーフェクト2回、ノーヒットノーラン7回。

その他の試合も基本15奪三振以上、被安打2以内。

桑田、松坂を遥かに凌ぐ、圧倒的な成績。

それでも作新学院のチーム打率.204。

「怪物、江川」であっても、頂点の景色を見ることはできませんでした。

高校野球が生んだ、史上最高投手〜“元祖怪物“の衝撃

こんばんは、フサイチです。

高校野球100年。高校野球は今まで数々のスターを生んできました。

松坂大輔田中将大ダルビッシュ有、吉田輝星、大谷翔平、、、

ものすごい記録を打ち立てた伝説の投手たちです。

 

でも、そんな名投手なんか、目じゃない。

次元が、まるで違う。

今日は、間違いなく高校野球史上最高の投手について書きます。

 

怪物。

 

作新学院江川卓

 

甲子園の猛者を相手にしてなお、圧倒的な力の差。

バットにボールが当たっただけで、大歓声。

160kmを超えていたとも言われる直球。

 

その成績を見ていきましょう。

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時事通信より転載


一年夏は、準決勝で敗れます。

しかし、準々決勝烏山戦で完全試合、パーフェクトを達成しています。

一年秋には、ノーヒットノーランも達成しています。

パーフェクトもノーヒットノーランも、

投手にとって最高の記録であり、滅多に達成されることはありません。

パーフェクトに関しては、夏の甲子園ではまだ誰も達成したことがありません。

それくらい、稀有な記録です。

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毎日新聞より転載

しかし、二年になった怪物、江川卓はこの記録を連発し始めます。

二年春の地区予選ではノーヒットノーラン2回。

夏の県予選では、準決勝で敗れますが、

ノーヒットノーラン2回、完全試合1回。27回無失点、47奪三振

「ホップするボール」は誰も打てません。

 

最高学年となった二年秋には、

怪物の周りには、完全に敵がいなくなります。

地区大会、関東大会の7試合53イニングを無失点94奪三振

最も打ち込まれた関東大会決勝の横浜戦は被安打4、16奪三振完封。

圧巻の投球で関東大会を制し、怪物は三年春に初めて甲子園に現れます。

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マガジン社より転載

甲子園デビュー戦は北陽相手に19奪三振4安打完封。

準々決勝、今治西戦では20奪三振1安打完封。

準決勝の広島商戦で8回2失点で敗れますが、

怪物の噂にたがわぬ、圧巻の投球を見せました。

大会60奪三振は、センバツでの最多奪三振記録となっている。

 

そして、怪物江川、最後の夏。作新学院は2回戦から登場します。

2回戦21奪三振ノーヒットノーラン

3回戦15奪三振ノーヒットノーラン

準々決勝、15奪三振1安打完封。

準決勝、8回1安打10奪三振無失点。

決勝、14奪三振ノーヒットノーラン

 

3度のノーヒットノーラン、打たれたヒットは2本。

 

まさに、怪物。

 

圧倒的な実力を示し、最後の夏の甲子園に乗り込みます。

1回戦の柳川商戦では延長15回を23奪三振1失点完投勝利。

2回戦の銚子商戦で、延長12回押し出し四球でのサヨナラ負け。

雨の中、サヨナラ負けの瞬間呆然とたたずむ江川。

「怪物江川、雨に散る」

は有名なフレーズです。

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サンスポより転載

甲子園通算6試合で、奪三振92。

 

大谷翔平の162kmよりも速かった」と呼ばれる快速球

パーフェクト2回、ノーヒットノーラン7回。

その他の試合も基本15奪三振以上、被安打2以内。

桑田、松坂を遥かに凌ぐ、圧倒的な成績。

それでも作新学院のチーム打率.204。

「怪物、江川」であっても、頂点の景色を見ることはできませんでした。

「役に立つ」から「意味がある」へ〜価値あるものは時代とともに変わっていく

こんばんは、フサイチです。

 

今日は「」というテーマで書きます。

今、「役に立つ」モノの価値が急激に下がっていると言われています。

たしかに今までは便利で「役に立つ」モノが求められてきました。

 

道で急に喉が乾いても大丈夫なように自動販売機が生まれたり、

暑さや寒さから逃れるためエアコンが生まれたり、

いつでも友達と繋がっていられるようにSNSが生まれたり。

 

人々の問題を解決する「役に立つ」モノが次々に普及していきます。

逆に言うと、売り手は何が「役に立つ」のかの正解を探していました。

 

「役に立つ」モノが世の中に満ち溢れ、

いま私たちの生活に問題はありません。

若者たちも、望む多くは手に入ります。

また、スマートフォンの普及により多くの娯楽が身近になりました。

そこそこの楽しみもあり、何不自由ない生活を送れています。

彼らは「さとり世代」ともよばれ、自分にも他人にも多くを望みません。

 

「ありのままで十分」「今のままで十分」

 

自分に対して、そして社会に対して「まあこんなもんだろ」と。

 

「役に立つ」モノが溢れて、問題なく生きられる社会です。

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一方で、今本当に必要なのは、「意味がある」モノです。

SNSが「役に立つ」のはわかっている、

じゃあそのSNSは誰が、何のために、

誰のために、どういう想いを込めて作ったのか。

という、モノの「意味」に人々は共感し感動します。

モノ自体ではなくストーリーで価値が決まる

 

「意味がある」ものに、人々が投資し始める時代です。

西野亮廣さんはよく、

「店検索」から「人検索」の時代になるとおっしゃいます。

美容院などでは、クオリティーの差はほぼなくなっている。

これからは、クオリティーで店を選ぶのではなく、

「あの人がやっているから、あの店で髪を切ってもらおう」というように、

人で選ぶ時代になると。

「人とのつながり」という「意味」に価値が生まています。

 

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「意味」を生み出せる人間が、価値を生み出す時代になったと思います。

国語教師としては、

ものづくりでもアートでも、

思いを込めて生み出したものの「意味」を表現し、価値をつけるのは言葉です。

 

「こんな人に助けてもらって、こんな思いをして作った」

 

人に感動してもらえる言葉、共感してもらえる構成、

「ストーリーを紡ぐ力」を鍛えないと、

価値を生み出せる人間が育たないと考えています。

「役に立つ」モノから「意味がある」モノに価値がある時代だから、

人々が求めるストーリーを紡げるような、言葉の力を育てる。

そんな役割を担っています。