笑顔の大エース〜星稜・奥川恭伸のかっこよさ
こんばんは、フサイチです。
夏の甲子園開催について、連日ニュースになっていますね。
開催してほしいという意見も多く、高校野球ファンが多いことを、
嬉しく思います。
今日は、2019年夏の甲子園を沸かせた選手を取り上げます。
星稜高校、奥川恭伸投手です。
準優勝校、星稜のエースであり、数々の名勝負を生んだ投手です。
歴史に残る試合を取り上げ、見ていきます。
1、悔いの残る二年夏の降板
奥川投手は、かつて松井秀喜が在籍した名門、
星稜高校で1年春からベンチ入りした期待のルーキーでした。
1年秋から主戦として登板し、2年センバツでは甲子園で144km、
2勝をあげる活躍を見せました。
2年夏の甲子園では開幕戦で先発。150kmを計測し、一躍注目選手となりました。
迎えた2回戦は済美(愛媛)と対戦します。
奥川は4回まで1失点に抑え、6−1と大量リードを奪う展開、
しかし、奥側はその4回に足をつり、マウンドを降りました。
大事を取っての交代でしたが、降板後試合は暗転します。
最大6点あった点差を逆転され、タイブレークの末、
相手の逆転サヨナラ満塁ホームランにより、星稜は大逆転負けを喫しました。
奥川は「自分が最後まで投げていればあんな展開にならなかった」
と、足をつり降板したことを悔いました。
この苦い経験により、奥川はさらなる成長を見せます。
2、世代No. 1投手とセンバツ
その後、高校日本代表に二年生で唯一選ばれ、
星稜は捕手の山瀬や強打者を擁し、この年の日本一に最も近いチームに、
奥川は名実ともに、文句なしの世代No. 1投手として、
全国に名を轟かせました。
そして迎えたセンバツ、初戦の相手は同じく優勝候補の履正社(大阪)となり、
1回戦屈指の好カードとなりました。
しかし、結果は奥川が17奪三振完封、3−0で星稜の圧勝でした。
このまま優勝まで駆け上るかに見えましたが、
次の習志野戦に落とし穴が待っていました。
奥川は本調子とは程遠い内容で、7安打を打たれ3失点。
サイン盗み疑惑など、打者との対戦以外でもリズムを狂わされ、
3−1で、まさかの敗戦を喫します。
ダントツの優勝候補だった星稜としては、悔いの残る敗戦となりました。
3、集大成の夏
数々の悔しさを糧に成長し、奥川恭伸は集大成の夏を迎えます。
地方大会では158kmを記録し、貫禄の投球。
他を寄せ付けず甲子園出場を決めます。
この夏も優勝候補として君臨し、甲子園に乗り込みました。
初戦の旭川大(北北海道)戦では、二塁を踏ませぬ投球を見せます。
1−0で3安打完封勝ちを収めます。
2回戦の立命館宇治(京都)戦でもリリーフで登板し、無失点の好投。
そして、3回戦で同じく優勝候補の智弁和歌山(和歌山)戦を迎えます。
奥川は今大会一番の投球を見せます。
2回から6者連続奪三振を奪うなど、圧巻の投球を見せます。
6回に味方のエラーから1点を失うものの、
強力打線を相手に9回までわずか3安打に抑えます。
一方、智弁和歌山も堅い守りで1−1のまま延長に入ります。
延長に入り、奥川は足をつります。
昨夏の悔しい思いが頭によぎったと言います。
しかし、降板はしません。
12回にはその状態で3者連続三振を奪い、タイブレークに突入。
無死一、二塁から始まる守備を2イニング無失点に抑え、
味方の劇的なサヨナラホームランによる勝利を収めました。
足をつりながら14回を投げ抜いた奥川、23奪三振、
自責点0と歴史に残る快投を見せ、劇的な勝利となりました。
その後も星稜は順調に勝ち進み、決勝戦に進みます。
夏の甲子園で1点も取られていない状態で迎える決勝、
バッティングを磨いてきました。
奥川は連投の疲れもあり、本来の投球ができません。
井上広大にスリーランホームランを浴びるなど、5失点。
試合も5−3で敗れ、全国制覇は成りませんでした。
奥川投手の魅力は、笑顔です。
ピンチでもニコニコ、試合を楽しむように投げる姿は、
見ている人間を引き込みます。まさに、笑顔の大エースです。
「高校野球は辛い顔して、我慢」
という概念を崩す選手ですね!
そして、逆転サヨナラ満塁ホームラン、サイン盗み疑惑、
延長14回の激闘など、常に高校野球の名勝負に絡む選手でした。
そういう星のもとに生まれているんでしょう。
吉田輝星や松井裕樹とは違うかっこよさと言えます。
ピンチにも笑えるぐらい、厳しい練習にも耐えてきた証拠です。
人間的な強さを持った、天才投手でした。