2019夏、明石商vs八戸学院光星〜リリーフしたエースの明暗
こんばんは、フサイチです。
今日は2019年、昨年の夏の甲子園の中から、
準々決勝、明石商vs八戸学院光星の試合を振り返ってみたいと思います。
1、準々決勝屈指の好カード
特に松井裕樹が彗星の如く現れた2012年の夏、
彼に引導を渡したのが光星学院でした。
3番田村、4番北條の強力打線を擁し、準優勝を果たしました。
その後も東北の高校野球を代表するチームで、
もちろんこの代も、開幕戦で誉(愛知)に完勝すると、
1番の武岡龍世を中心に大江拓輝、下山昴大など、
中軸が好調をキープし、ベスト8まで勝ち進んできました。
一方の明石商業は、この大会の注目校でした。
初のベスト4に進出しました。2年生の怪物コンビが全国区です。
1番来田涼斗は、智弁和歌山戦で史上初の先頭打者本塁打とサヨナラ本塁打。
エース中森俊介は、150km超のストレートを持っています。
さらに捕手の水上桂、3番重宮涼と、攻撃陣も充実しています。
「狭間ガッツ」で今大会最も注目されている、
狭間監督が率いる個性派集団です。
準々決勝は一日で勝ち残った全てのチームが揃うため、
高校野球ファンにとっては最も楽しい日ですが、
その中でも屈指のカードとなり、朝なのがもったいないくらいでした。笑
2、序盤の攻防
その好カード、試合前から球場は異様な雰囲気となりました。
その原因は、両校の先発投手にありました。
八戸学院光星は、背番号1のエース山田怜卓はストッパー的な起用をされるため、
先発しません。
背番号5の下山が先発します。彼は甲子園初登板となります。
一方明石商は、前戦はエース中森を温存し、
サウスポーの杉戸理斗が155球を投げ完投しました。
今日こそ中森登板かと思いきや、今日の先発も同じく杉戸。
エースへの継投のタイミングに注目が集まった試合でした。
試合は初回から激しい殴り合いとなります。
先攻の明石商は、4番安藤、5番宮崎の、
流れるような連続タイムリーで、3点を先制します。
一方光星もすぐさま反撃、5番大江の内野ゴロの間に1点を返します。
初回の攻防を、狭間監督は「うちに優位な初回」、
光星、仲井監督は「まだいけこれから」
と語っており、それぞれ譲らぬ展開となります。
しかし2回、明石商は依然制球の定まらない光星下山を攻め、
二死一、三塁から4番安藤のスリーランホームランで3点を追加、
6−1と、大量リードを奪います。
一方光星も3回、連続四球などで、一死二、三塁のチャンスを作ると、
5番大江のタイムリーで2点を返し6−3と、
じわじわ追いつきます。
3、伝統校の意地
4回からは両チーム先発投手を諦め継投に入ります。
光星は4回から10番のサウスポー横山にスイッチ、
これがハマり、横山は7回途中まで投げ無失点に抑えます。
その間に反撃の光星、5回は無死満塁のチャンスをつくります。
ここで、明石商は杉戸を諦めます。
この厳しい場面で、11番の溝尾に継投します。
溝尾は直後に味方のエラーで2点を失うものの、粘りの投球で後続を断ちます。
しかし6−5で迎えた6回、光星は二死満塁から、
下山の押し出し四球で試合を振り出しに戻します。
大会屈指の好カード、期待通りの大接戦で終盤を迎えます。
4、リリーフしたエースに明暗
同点の7回、明石商は四球と送りバントで二死二塁と、
勝ち越しのチャンスをつくります。
ここで、光星ベンチが動きます。
横山から、山田へとスイッチ。ここでエースを投入します。
明石商も二塁ランナーに代走、俊足の窪田を送り、勝負に出ます。
しかし、山田は8番清水良をサードゴロに打ち取り、
ピンチを切り抜けます。
ピンチの後にはチャンスあり、光星は一死二塁、
1番武岡とチャンスをつくります。
溝尾は強気に内角を攻め続け、武岡をセカンドゴロに抑えます。
ここで狭間監督は満を持して、エース中森にスイッチします。
中森は力みながらも、150kmの直球で、
2番島袋をファーストファールフライに抑えます。
両校この緊迫した展開で背番号1へとスイッチし、エース対決となります。
両エースの明暗が分かれたのは8回でした。
明石商は一死二、三塁のチャンスをつくり、3番重宮を迎えます。
ここで狭間監督は2ボールからスクイズを選択します。
しかし、重宮がバントを空振り。三塁ランナータッチアウト、
明石商にとっては痛恨の一球となりました。。
二死三塁となります。
しかし、2−2からの五球目でした。
ワンバウンドしたスライダーを捕手が弾き、三塁走者が生還。
思わぬ形で勝ち越し点が入ります。
エース山田にとっては不運。
今度は光星バッテリーが痛恨の一球となりました。。
目まぐるしく動く試合、光星は諦めません。
8回裏先頭の3番近藤が二塁打から、一死一、三塁のチャンスをつくります。
しかし、エース中森はここからギア全開。
6番下山に対し1−3から149kmの外角低め、
145kmの高めの速球でねじ伏せ三振を奪います。
その後、相手の重盗を、持ち前の組織プレーで防ぎ、勝負有り。
7−6で、終盤のエース同士の投げ合いを制した明石商が逃げ切りました。
両チーム満を持して投入したエースの投げ合い。
ワンプレーに手に汗を握る熱戦でした。