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29才の高校教師です。学校、教育、高校野球について日々の思いを書きます。

2019夏、明石商vs八戸学院光星〜リリーフしたエースの明暗

こんばんは、フサイチです。

今日は2019年、昨年の夏の甲子園の中から、

準々決勝、明石商vs八戸学院光星の試合を振り返ってみたいと思います。

 

1、準々決勝屈指の好カード

八戸学院光星は、光星学院時代からの伝統校です。

特に松井裕樹が彗星の如く現れた2012年の夏、

彼に引導を渡したのが光星学院でした。

3番田村、4番北條の強力打線を擁し、準優勝を果たしました。

その後も東北の高校野球を代表するチームで、

もちろんこの代も、開幕戦で誉(愛知)に完勝すると、

1番の武岡龍世を中心に大江拓輝、下山昴大など、

中軸が好調をキープし、ベスト8まで勝ち進んできました。

 

一方の明石商業は、この大会の注目校でした。

センバツでは、智弁和歌山にサヨナラ勝ちを収めるなど、

初のベスト4に進出しました。2年生の怪物コンビが全国区です。

1番来田涼斗は、智弁和歌山戦で史上初の先頭打者本塁打サヨナラ本塁打

エース中森俊介は、150km超のストレートを持っています。

さらに捕手の水上桂、3番重宮涼と、攻撃陣も充実しています。

「狭間ガッツ」で今大会最も注目されている、

狭間監督が率いる個性派集団です。

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スポーツニュースより転載



準々決勝は一日で勝ち残った全てのチームが揃うため、

高校野球ファンにとっては最も楽しい日ですが、

その中でも屈指のカードとなり、朝なのがもったいないくらいでした。笑

 

2、序盤の攻防

その好カード、試合前から球場は異様な雰囲気となりました。

その原因は、両校の先発投手にありました。

八戸学院光星は、背番号1のエース山田怜卓はストッパー的な起用をされるため、

先発しません。

背番号5の下山が先発します。彼は甲子園初登板となります。

 

一方明石商は、前戦はエース中森を温存し、

サウスポーの杉戸理斗が155球を投げ完投しました。

今日こそ中森登板かと思いきや、今日の先発も同じく杉戸。

エースへの継投のタイミングに注目が集まった試合でした。

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毎日新聞より転載


試合は初回から激しい殴り合いとなります。

先攻の明石商は、4番安藤、5番宮崎の、

流れるような連続タイムリーで、3点を先制します。

一方光星もすぐさま反撃、5番大江の内野ゴロの間に1点を返します。

初回の攻防を、狭間監督は「うちに優位な初回」、

光星、仲井監督は「まだいけこれから」

と語っており、それぞれ譲らぬ展開となります。

 

しかし2回、明石商は依然制球の定まらない光星下山を攻め、

二死一、三塁から4番安藤のスリーランホームランで3点を追加、

6−1と、大量リードを奪います。

一方光星も3回、連続四球などで、一死二、三塁のチャンスを作ると、

5番大江のタイムリーで2点を返し6−3と、

じわじわ追いつきます。

 

3、伝統校の意地

4回からは両チーム先発投手を諦め継投に入ります。

光星は4回から10番のサウスポー横山にスイッチ、

これがハマり、横山は7回途中まで投げ無失点に抑えます。

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スポニチより転載


その間に反撃の光星、5回は無死満塁のチャンスをつくります。

ここで、明石商は杉戸を諦めます。

この厳しい場面で、11番の溝尾に継投します。

溝尾は直後に味方のエラーで2点を失うものの、粘りの投球で後続を断ちます。

 

しかし6−5で迎えた6回、光星は二死満塁から、

下山の押し出し四球で試合を振り出しに戻します。

大会屈指の好カード、期待通りの大接戦で終盤を迎えます。

 

4、リリーフしたエースに明暗

同点の7回、明石商は四球と送りバントで二死二塁と、

勝ち越しのチャンスをつくります。

ここで、光星ベンチが動きます。

横山から、山田へとスイッチ。ここでエースを投入します。

明石商も二塁ランナーに代走、俊足の窪田を送り、勝負に出ます。

しかし、山田は8番清水良をサードゴロに打ち取り、

ピンチを切り抜けます。

 

ピンチの後にはチャンスあり、光星は一死二塁、

1番武岡とチャンスをつくります。

溝尾は強気に内角を攻め続け、武岡をセカンドゴロに抑えます。

ここで狭間監督は満を持して、エース中森にスイッチします。

中森は力みながらも、150kmの直球で、

2番島袋をファーストファールフライに抑えます。

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両校この緊迫した展開で背番号1へとスイッチし、エース対決となります。

 

両エースの明暗が分かれたのは8回でした。

明石商は一死二、三塁のチャンスをつくり、3番重宮を迎えます。

ここで狭間監督は2ボールからスクイズを選択します。

しかし、重宮がバントを空振り。三塁ランナータッチアウト、

明石商にとっては痛恨の一球となりました。。

二死三塁となります。

しかし、2−2からの五球目でした。

ワンバウンドしたスライダーを捕手が弾き、三塁走者が生還。

思わぬ形で勝ち越し点が入ります。

エース山田にとっては不運。

今度は光星バッテリーが痛恨の一球となりました。。

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Newspicsより転載


目まぐるしく動く試合、光星は諦めません。

8回裏先頭の3番近藤が二塁打から、一死一、三塁のチャンスをつくります。

しかし、エース中森はここからギア全開。

6番下山に対し1−3から149kmの外角低め、

145kmの高めの速球でねじ伏せ三振を奪います。

その後、相手の重盗を、持ち前の組織プレーで防ぎ、勝負有り。

7−6で、終盤のエース同士の投げ合いを制した明石商が逃げ切りました。

 

両チーム満を持して投入したエースの投げ合い。

ワンプレーに手に汗を握る熱戦でした。