Babysteps

29才の高校教師です。学校、教育、高校野球について日々の思いを書きます。

劇的サヨナラツーランスクイズ〜奇跡が生まれた2つのプレー

こんばんは、フサイチです。

今日は甲子園、金農旋風の象徴、奇跡のツーランスクイズについて書きます。

かっこよさと、少し技術的な部分も書きたいと思います。

 

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高校野球ニュースより転載
1、奇跡のツーランスクイズ

2018年、第100回夏の甲子園記念大会、14日目の準々決勝は、

古豪同士の注目の一戦となりました。

この試合、機体を遥かに超えたドラマチックな試合になったことは、

記憶に新しいかと思います。

打率.615、2本塁打、11打点のプロ注目打者、北村を中心に、

総合力の高い近江高校と、

吉田輝星(現日ハム)を中心に、横浜高校を劇的に破り波に乗る

金足農業の試合です。

 

試合は1点を争う好ゲーム。2−1近江リードで、最終回となります。

吉田輝星は2点を奪われるものの、粘りの投球。

一方の近江は継投。5回以降、林優樹(2年)が好投していました。

 

9回表、近江は一死一二塁とチャンスを作りますが、

9番林のバントを投手の吉田輝星が好フィールディング。

三塁で封殺します。その後1番瀬川を三人にとり、大ピンチを凌ぎます。

このピンチを凌ぎ、前戦の横浜高校相手の劇的な勝利もあり、

スタンドは金足農業への歓声が目立ちました。

甲子園は半官贔屓、終盤に負けているチームに応援が集中する傾向があります。

異様な空気の中、金足農業は6番高橋、7番菊池彪のヒットで無死一二塁。

最後のチャンスに、球場はさらに盛り上がりを見せます。

球場全体を味方につけ、8番菊池亮。近江ピッチャー林はストライクが入りません。

フォアボールとなり、無死満塁となります。

 

バッターは9番斎藤。中泉監督いわく、チームで一番バントがうまい打者です。

バントの構えなどで揺さぶりをかけます。

そして、1−1からの3球目にスクイズを仕掛けます。

三塁前に転がります。三塁手は本塁を諦め一塁へ送球し、同点。

そして、誰もがそう思った一瞬のスキをつき、

二塁走者の菊池彪も本塁へ。

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毎日新聞より転載

一塁手が送球するも、菊池のヘッドスライディングが一瞬早く、サヨナラ。

まさに奇跡のサヨナラツーランスクイズ。勝った金足農業は、喜びを爆発させます。

反対に近江林投手は茫然自失、有馬捕手(2年)は起き上がることができません。

高校野球の魅力が全て詰まったこの試合、

金足農業が3−2で近江を下し、準決勝に進みました。

 

「金農旋風ここにあり!!」

「これはヤバイ、ヤバすぎる!!」

 

観客も涙、僕もテレビを見ながら雄叫びをあげました笑

この試合、ドラマが起こった9回裏を、

もう少し専門的に見ていきたいと思います。

 2つ、要因となるプレーがあったかと思います。

2、無死一塁からの投球

この試合、奇跡が起こるんですが、

9回裏を分析すると、いろんな要素が重なって起こったことに気づかされます。

 

まず無死一塁、バッター菊池彪の場面、

初球、内スライダーをバスターで空振り

2球目、内スライダーをバントの構えで見送りストライク

3球目、外チェンジアップ(?)を見送りボール

4球目、内ストレートをファール

5球目、内スライダーをレフト前ヒット

となるわけです。(外:外角、内:内角)

 

菊池彪はここまで15打数3安打、打率だけ見ると決して高くありません。

そして近江の林は左投手です。

一般的に左投手が右打者と対するときは、外のチェンジアップを決め球にします。

現に林は3球目、外のチェンジアップを投げています。

しかし、この球が明らかにコントロールできていない抜けた球でした。

林投手、ストレートもスライダー(カーブ?)も精度が高く、一級品です。

しかし、右打者と対戦したときに投げる球がない。

結局チェンジアップを決め球に使えず、

内に入れるスライダーを打たれました。

どんなに良いスライダーでも、右打者で、3球見れば打たれます。

林投手みたいなピッチャーが大好きなので、惜しかったなと思いました。

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Twitterより転載
3、流れを決めた2塁牽制 

もうひとつ、無死一二塁、カウント0−2から、捕手の2塁牽制が入るんですね。

これ、捕手とショートの動きを見ると、

何百回も練習したんだろうなと思う得意なプレーだと思うんです。

直前にタイムをとてったし、初球の前に足上げの2塁牽制も入れていたので、

狙ったプレーだったんだと思います。

牽制のタイミングも絶妙で、ランナーも次の塁に意識が集中していて戻るのが遅れました。

まさに必殺だったんでしょう。アウトにも見えたプレーでした。

まあそれは審判が決めることなので良いんですが、

近江のショートの選手が露骨に悔しがってたんですよね。

僕はここで明らかに近江が劣勢に立ったと思いました。

 

「あ、アウトっぽくてもセーフになる流れなのね」

「いつも決まる必殺プレーでも止められないんだ」

 

という雰囲気になりました。

実際にアウトなら一死一塁、状況が全く変わりますからね。

結果フォアボールとなり、

次のサヨナラツーランスクイズにつながってしまいました。

 

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日刊スポーツより転載

ちなみにツーランスクイズも、練習してたんだろうなと僕は思ってます。

どこにでもバントができる斎藤なら、

普通のスクイズなら一塁側を狙う方が確率が高いはずです。

三塁手に取らせれば走者が背中で見えませんから。

 下の動画に二つのプレーが両方入ってます。


金足農業×近江 奇跡のサヨナラツーランスクイズ

4、奇跡は練習の積み重ね

奇跡でもありますが、幾たびもの練習の積み重ねの結果だと思います。

練習を積み重ねることでしか、奇跡は生まれないんだなと、

感じた試合でした。

両チームすごすぎる!!

いつか林投手についても書きます。

Twitterからいらっしゃった方、リツイート、いいねよろしくお願いします🙏

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ライブドアニュースより転載