劇的サヨナラツーランスクイズ〜奇跡が生まれた2つのプレー
こんばんは、フサイチです。
今日は甲子園、金農旋風の象徴、奇跡のツーランスクイズについて書きます。
かっこよさと、少し技術的な部分も書きたいと思います。
1、奇跡のツーランスクイズ
2018年、第100回夏の甲子園記念大会、14日目の準々決勝は、
古豪同士の注目の一戦となりました。
この試合、機体を遥かに超えたドラマチックな試合になったことは、
記憶に新しいかと思います。
打率.615、2本塁打、11打点のプロ注目打者、北村を中心に、
総合力の高い近江高校と、
吉田輝星(現日ハム)を中心に、横浜高校を劇的に破り波に乗る
金足農業の試合です。
試合は1点を争う好ゲーム。2−1近江リードで、最終回となります。
吉田輝星は2点を奪われるものの、粘りの投球。
一方の近江は継投。5回以降、林優樹(2年)が好投していました。
9回表、近江は一死一二塁とチャンスを作りますが、
9番林のバントを投手の吉田輝星が好フィールディング。
三塁で封殺します。その後1番瀬川を三人にとり、大ピンチを凌ぎます。
このピンチを凌ぎ、前戦の横浜高校相手の劇的な勝利もあり、
スタンドは金足農業への歓声が目立ちました。
甲子園は半官贔屓、終盤に負けているチームに応援が集中する傾向があります。
異様な空気の中、金足農業は6番高橋、7番菊池彪のヒットで無死一二塁。
最後のチャンスに、球場はさらに盛り上がりを見せます。
球場全体を味方につけ、8番菊池亮。近江ピッチャー林はストライクが入りません。
フォアボールとなり、無死満塁となります。
バッターは9番斎藤。中泉監督いわく、チームで一番バントがうまい打者です。
バントの構えなどで揺さぶりをかけます。
そして、1−1からの3球目にスクイズを仕掛けます。
三塁前に転がります。三塁手は本塁を諦め一塁へ送球し、同点。
そして、誰もがそう思った一瞬のスキをつき、
二塁走者の菊池彪も本塁へ。
一塁手が送球するも、菊池のヘッドスライディングが一瞬早く、サヨナラ。
まさに奇跡のサヨナラツーランスクイズ。勝った金足農業は、喜びを爆発させます。
反対に近江林投手は茫然自失、有馬捕手(2年)は起き上がることができません。
高校野球の魅力が全て詰まったこの試合、
金足農業が3−2で近江を下し、準決勝に進みました。
「金農旋風ここにあり!!」
「これはヤバイ、ヤバすぎる!!」
観客も涙、僕もテレビを見ながら雄叫びをあげました笑
この試合、ドラマが起こった9回裏を、
もう少し専門的に見ていきたいと思います。
2つ、要因となるプレーがあったかと思います。
2、無死一塁からの投球
この試合、奇跡が起こるんですが、
9回裏を分析すると、いろんな要素が重なって起こったことに気づかされます。
まず無死一塁、バッター菊池彪の場面、
初球、内スライダーをバスターで空振り
2球目、内スライダーをバントの構えで見送りストライク
3球目、外チェンジアップ(?)を見送りボール
4球目、内ストレートをファール
5球目、内スライダーをレフト前ヒット
となるわけです。(外:外角、内:内角)
菊池彪はここまで15打数3安打、打率だけ見ると決して高くありません。
そして近江の林は左投手です。
一般的に左投手が右打者と対するときは、外のチェンジアップを決め球にします。
現に林は3球目、外のチェンジアップを投げています。
しかし、この球が明らかにコントロールできていない抜けた球でした。
林投手、ストレートもスライダー(カーブ?)も精度が高く、一級品です。
しかし、右打者と対戦したときに投げる球がない。
結局チェンジアップを決め球に使えず、
内に入れるスライダーを打たれました。
どんなに良いスライダーでも、右打者で、3球見れば打たれます。
林投手みたいなピッチャーが大好きなので、惜しかったなと思いました。
3、流れを決めた2塁牽制
もうひとつ、無死一二塁、カウント0−2から、捕手の2塁牽制が入るんですね。
これ、捕手とショートの動きを見ると、
何百回も練習したんだろうなと思う得意なプレーだと思うんです。
直前にタイムをとてったし、初球の前に足上げの2塁牽制も入れていたので、
狙ったプレーだったんだと思います。
牽制のタイミングも絶妙で、ランナーも次の塁に意識が集中していて戻るのが遅れました。
まさに必殺だったんでしょう。アウトにも見えたプレーでした。
まあそれは審判が決めることなので良いんですが、
近江のショートの選手が露骨に悔しがってたんですよね。
僕はここで明らかに近江が劣勢に立ったと思いました。
「あ、アウトっぽくてもセーフになる流れなのね」
「いつも決まる必殺プレーでも止められないんだ」
という雰囲気になりました。
実際にアウトなら一死一塁、状況が全く変わりますからね。
結果フォアボールとなり、
次のサヨナラツーランスクイズにつながってしまいました。
ちなみにツーランスクイズも、練習してたんだろうなと僕は思ってます。
どこにでもバントができる斎藤なら、
普通のスクイズなら一塁側を狙う方が確率が高いはずです。
三塁手に取らせれば走者が背中で見えませんから。
下の動画に二つのプレーが両方入ってます。
4、奇跡は練習の積み重ね
奇跡でもありますが、幾たびもの練習の積み重ねの結果だと思います。
練習を積み重ねることでしか、奇跡は生まれないんだなと、
感じた試合でした。
両チームすごすぎる!!
いつか林投手についても書きます。
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