”衝撃の3発“を生んだエースと主将の気迫〜2019夏、智弁和歌山vs明徳義塾
こんばんは、フサイチです。
2018年は第100回という節目の大会でした。
「金農旋風」が吹き荒れ、史上最強チームである大阪桐蔭が春夏連覇を果たす。
ドラマチックな夏になりました。
しかし101回大会、新しい時代・新しい野球の幕開けの大会も、
負けないくらい熱い夏になりました。
今日はそんな2019年、101回目の夏の甲子園ベストゲームの一つ、
強豪校対決は、期待を超える強烈なインパクトを残しました。
1、二回戦屈指の好カード
智弁和歌山は、
なんと1年夏から5期連続で、全て甲子園に出ている選手が3人います。
公式戦通算打率.399のキャプテン黒川(現楽天)、
甲子園通算19安打の西川、強肩強打の正捕手東妻(現ロッテ)です。
この三人を中心に、俊足巧打の2年生細川、
1年生四番打者の徳丸、エースの池田と、超強力の布陣です。
一回戦では米子東に8−1で勝っています。
一方明徳義塾は安定した投手陣が持ち味の守りのチームです。
エースの林田、二年生左腕の新地を軸に、
守り勝つ野球で高知大会を勝ち進みました。
名将馬淵監督の采配も光り、
初戦の藤蔭戦は6−4で、相手の追い上げを振り切り勝利しました。
二回戦のこのカードは伝統校同士の対戦になり、
高校野球ファンなら必ず興奮する、屈指の好カードとなりました。
2、因縁
この両校は、甲子園で過去に2度対戦しています。
1回目は全国制覇をかけた決勝の舞台でした。
2002年夏の甲子園決勝、ここでは7−2で明徳義塾が勝利し、
全国制覇を果たしました。
2回目は2014年、センバツ一回戦でした。
名将対決として注目を集めましたが、試合は激闘になりました。
両校の対戦はこれが3回目になります。
中谷監督は、「今のチームは、今のチームだから関係ない」としながらも、
「同じ相手に3回は負けたくない」とコメントし、
一方馬淵監督は、「ここの能力は向こうが上、だけどチームスポーツ。
まだ智弁和歌山には公式戦では一度も負けていないからね」と、
戦う前から場外戦。熱戦の予感が漂っていました。
3、嵐の前の静けさ
試合は明徳義塾の新地、智弁和歌山の矢田の二年生左腕の投げ合いとなりました。
共にクセのある直球と鋭いスライダーを操り、投手戦となります。
0−0の5回裏、均衡が破れ明徳義塾が3番鈴木のタイムリーで1点を先制します。
超強力の智弁和歌山打線は新地の前に、
ランナーを出すもチャンスを生かせません。
不気味なほど静かな投手戦になります。
4、エース池田とキャプテン黒川
流れを変えたのはエースの池田でした。
6回裏、智弁和歌山は矢田からエースの池田にスイッチします。
その池田は5番奥野から始まる明徳打線をわずか4球で、
テンポよく打ち取ります。明徳義塾にとっては淡白な攻め、
逆に智弁和歌山はこの守備からリズムが生まれます。
エースの起用が完全に当たり、智弁和歌山の起爆剤となりました。
続く9番綾原は相手のエラーを誘い一死一三塁とし、
1番キャプテンの黒川に打席が回ります。
黒川は下級生の頃から中心選手として智弁和歌山を牽引していました。
しかしこの夏の甲子園は、
ここまで5打数ノーヒットと結果を出せていませんでした。
チャンスでの打席、ここまでの悔しい結果、
1球ごとに雄叫びをあげ打席に入ります。
その気迫を後押しするように、
スタンドではチャンステーマの「ジョックロック」が鳴り響きます。
黒川の気迫のバッティングは、ショート強襲の内野安打となり、
1−1の同点に追いつきます。
エースと主将の気迫が試合を振り出しに戻し、
その後の衝撃を呼びます。
5、衝撃の3発
なお、一死一二塁のチャンスに2番細川。
2−2からの5球目でした。ど真ん中のボールを振り抜き、
ライトへの逆転スリーランホームランを放ちます。
これで4−1、今までの鬱憤を晴らすように、
「ジョックロック」は止まりません。
続く西川もセンター前ヒットを放ちます。
4番徳丸はショートフライに倒れますが、
続く5番根来は、内角高めのボールを振り抜き、
これもライトスタンドへ、ツーランホームラン。
この回二本目のホームランで、6−1とします。
好投を続けていた明徳義塾の新地ですが、
エースと主将のつくった勢いを止めることができません。
さらにさらに6番東妻の打球はセンターへ、
なんとこれもスタンドに入り、ホームラン。
この回3本目のホームランとなります。
1イニング3本塁打は大会タイ記録となり、7−1と突き放します。
細川、根来、東妻が放った衝撃の3発に、
球場は歓声を超えて、どよめきが起こります。
「まじで!?」
「やばいやばい!!」
「エグすぎる』
ざわざわ、どよどよが止まりませんでした。笑
結局そのまま7−1で、智弁和歌山が三度目にして明徳義塾に初勝利をあげました。
エースと主将のつくった流れを、全てホームランでかっさらう。
ツボにハマった智弁和歌山の打線の怖さに、興奮が止まりませんでした。
もともと強豪校対決で期待してたんですが、
その期待を遥かに超えるとんでもないものを見てしまいました。
明徳義塾の新地投手はまだ2年生、今年の夏の活躍に期待大です!!