Babysteps

29才の高校教師です。学校、教育、高校野球について日々の思いを書きます。

大胆かつ緻密な狭間野球〜中森、来田擁する明石商の魅力

こんばんは、フサイチです。

一斉休校から一ヶ月、学校は閑散としています。

グラウンドも、例年なら練習試合で活気に溢れているのですが、、

球春はいつになったら来るのでしょうか。

 

さて、今日は「大胆かつ緻密な狭間野球〜中森、来田擁する明石商の魅力」というテーマで書きたいと思います。

兵庫県の公立高校である明石商業高校といえば、

好投手を輩出しているイメージがあり、西武の松本航投手も明石商出身です。

f:id:youkokurama:20200330183341j:plain

zakzakより転載)


そんな明石商が特に注目されたのは、2019年です。

3年ぶり2度目の選抜出場を果たしたチームでしたが、快進撃を見せます。

国士舘(東京)に7−1、大分(大分)に13−4と勝ち進み、

ベスト8へと進出します。

 

準々決勝の相手は、昨年選抜準優勝校の智弁和歌山(和歌山)。

その強さとかっこよさは先日のブログの通りです。笑

この試合の主役は2年生の、来田涼斗選手です。

1番打者の来田は、初回に先頭打者ホームランを放ちます。

ところが、智弁和歌山も粘り強く攻撃し、

試合は3−3の同点で9回の攻防へと移ります。

9回表、1死1、2塁のピンチを2年生エース中森俊介がダブルプレーで切り抜けると、

その裏、先頭打者の来田が、今日二本目となる右中間へのサヨナラホームラン

史上初となる、同一選手の先頭打者本塁打サヨナラ本塁打を打ち、

まさに「来田に始まり来田に終わる」ゲームとなりました。

f:id:youkokurama:20200330183950p:plain

(nobiciro.comより転載)


準決勝で優勝校の東邦(愛知)に敗れるものの、

公立高校の躍進は強烈なインパクトを残しました。

 

そして2019年夏、兵庫県予選決勝で9回に大逆転し勝利を飾り、

明石商は甲子園に再び登場します。

すでに来田と、2年生の151km右腕中森は全国区となっており、

大会前から注目校とされていました。

 

初戦の花咲徳栄(埼玉)を水上桂(3年、現楽天)の逆転2ランなどで、

4−3で勝利すると、

3回戦の宇部鴻城(山口)戦も1点を争う好ゲームとなります。

そして1点ビハインドで迎えた8回、事件が起きます。笑

1死3塁から7番清水良(3年)の打席、なんとエンドランで同点に追いつきます。

高校野球では滅多に見られない戦法で、相手の意表をつきました。

その後、9回にサヨナラスクイズで勝利し、ベスト8に進出します。

 

準々決勝の強豪八戸学院光星(青森)戦も終盤までもつれます。

序盤に打線が奮起し5点リードしますが、

徐々に差を詰められ、6回に同点に追いつかれます。

しかし7回、2死3塁のピンチでリリーフした中森が光星打線を抑え込み、

7−6で勝利し、春夏連続のベスト4という快挙を成し遂げました。

 

明石商は接戦の好ゲームが多く、魅力的な野球です。

そのチームを率いる狭間善徳監督です。

元々は明徳義塾中学の指導者として有名であり、

名将馬淵史郎監督とともに野球指導を行なっていました。

もちろん技術指導においても、高校球界トップクラスの指導者ですが、

特に注目されるのはそのデータ分析力です。

相手チームの投手、打者の特徴や傾向を徹底的に分析し、

対策を熟考したうえで試合に臨みます。

 

さらに、試合での大胆かつ繊細な戦術が非常に魅力的です。

ランナー3塁でのエンドラン、サヨナラスクイズなどの大胆な戦略、

1、3塁の重盗阻止などの緻密な連携プレー、

「勝負師」と呼ぶにふさわしい、新たな時代の名将です。

「狭間ガッツ」と呼ばれるガッツポーズもかっこいいです。笑

 

f:id:youkokurama:20200330184122j:plain

zakzakより転載)

高校野球で一番勝ちたいのは監督」という言葉があります。

必死な監督の姿、スター性のある注目選手、

明石商の野球は見ている人に野球の「おもしろさ」を教えてくれます。