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29才の高校教師です。学校、教育、高校野球について日々の思いを書きます。

奥川の512球と初優勝への意地〜2019夏決勝、履正社vs星稜

こんばんは、フサイチです。

今日は、「2019夏決勝、履正社vs星稜」を書きます。

令和初の夏の甲子園、決勝は優勝候補同士、

元号をまたいだ因縁の対決になりました。

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1、どっちが勝っても初優勝

履正社は甲子園初戦の津田学園(三重)を7−3で快勝すると、

高岡商(富山)に9−4、関東一(東東京)に7−3、

明石商(兵庫)に7−1と、

1番桃谷、4番井上を中心に破壊量抜群の打線で勝ち進んできました。

センバツで奥川に17奪三振完封負けを喫してから、

強化してきた打線が存分に実力を発揮します。

「すべては奥川を打つために」

最高の舞台で、最高の相手との対戦です。

 

一方星稜は、初戦の旭川大高(北北海道)に1−0、

立命館宇治(京都)に6−3、智弁和歌山(和歌山)に4−1、

仙台育英(宮城)に17−1、中京学院大中京(岐阜)に9−0と、

大会序盤こそ苦しんだものの、準々決勝、準決勝と大勝しています。

奥川は今大会、ここまで防御率0.00の快投。

世代ナンバーワン投手の実力を見せつけた投球です。

山瀬との黄金バッテリーで、松井秀喜でも成し遂げられなかった、

初の全国制覇に挑みます。

 

2、奥川の疲れ

履正社の1番桃谷が、プレイボールの初球を打ち、試合が始まります。

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サンスポより転載


1回、2回と履正社がチャンスを作るも、無得点。

逆に星稜は、履正社エース清水を攻めます。

2年生4番内山がヒットで出ると、

7番岡田のタイムリーツーベースで先制します。

伝統校初の悲願へ、星稜が一歩近づきます。

 

しかし、今日の奥川はいつもとは様子が違いました。

激闘を乗り越えてきた疲れからか、

球威もコントロールも今ひとつです。

直後の3回、履正社は二死から2番池田、3番小深田の二年生コンビが

四球を選び、二死一二塁のチャンスをつくります。

ここで、履正社は4番の井上広大を迎えます。

 

3、1球

勝負は1球でした。初球のスライダーが高めに浮いた球を、

井上は見逃しませんでした。

とらえた打球は左中間スタンドへ。

スリーランホームランとなり、3−1。履正社が逆転します。

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読売新聞より転載


その後は両投手ランナーを出すも、粘りのピッチング。

履正社5回の井上の打席では、今度は奥川が三振を奪い、リベンジします。

 

履正社は7回、再び二死一二塁のチャンスを作ると、

バッターに三度井上を迎えます。

しかし、奥側がまたもスライダーで三振を奪います。

これで井上に対し、本塁打を打たれた後2打席連続奪三振

この奥川の粘りが、再び試合を動かします。

 

4、星稜の粘り

7回裏、四球で出た走者を、

星稜キャプテン山瀬が左中間へのタイムリーで返し、3−2。

一点差につめよります。

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スポニチより転載


さらに、二死一二塁から3番知田のライト前タイムリー、3−3。

同点に追いつきます。黄色の星稜アルプスは、大歓声。

さらに、変わった岩崎を攻め、二死満塁とし、5番大高。

最大の勝負所を迎えます。

大高は3球目を果敢に打ちに行くも、セカンドフライ。

絶好のチャンスを逃します。

 

 

ピンチの後にチャンスあり。

履正社は直後の8回表、5番内倉がライトへ二塁打を放つと、

犠打で三塁に走者を進め、7番野口を迎えます。

 

5、奥川の512球

奥川の、この夏489球目でした。

 

渾身のストレートを野口がはじき返しセンター前。

4−3と勝ち越します。

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デイリースポーツより転載


さらに岩崎もタイムリーで続き、5−3とリードを広げます。

 

9回、星稜は粘りを見せます。

山瀬、有松がヒットを放ち、一死一二塁とします。

 

初優勝へ、お互いが勝利への執念を見せます。

 

一発でれば逆転サヨナラ優勝の場面で、星稜は3番知田。

しかし、セカンドゴロ併殺で万事休す。

5−3で履正社が逃げ切り、初の全国制覇を果たしました。

 

奥川はこの夏512球。

この日は疲れからか、制球が定まらず苦しみましたが、

それでも大会No. 1履正社打線を相手に真っ向勝負。

4番井上との勝負は手に汗握りました。

奥川、山瀬、井上がプロに進みます。

今後の活躍に期待しましょう!

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産経ニュースより転載